臨床研修指定病院における取り組み


 「学習効果を高めるための、指導医の7つの習慣」
                   済生会滋賀県病院 臨床研修教育委員会 中村 隆志 先生


 先日、研修医のストレス調査の目的でアンケートと個別カウンセリングを行いました。 Job controlや患者さんとの関係以外に、指導医の態度が非常に重要であることがわかりました。指導方法としてはいくつかのテキストにありますが、表現が難しかったり具体性に欠けるので指導医の行動変容にはあまり役に立たないなという印象です。 そこで当院での指導医の指針を簡単にまとめました。研修医が望ましい行動を習慣化するのを助けるための、指導のポイントです。内容は、上司と部下、主治医と患者さんにも当てはまる普遍的なもので、行動科学、教育心理学を基礎としています。



1.研修医を参加させる
  
  自分ならどうすべきか、主体的に考える機会を奪わないこと。

  ex:先の見通しを立てられること(最終到達目標)、そのために文献を調べる、タイミングよくコンサルテー
    ションすることなどがプロセスに含まれます。




2.研修医のレベルと研修目的に合わせる
  
  ストレート研修で専門医になった先生は要求が高度になりがちです。

  ex:難しい手術記録を書けるより、退院サマリーがすばやく書けるように支援する。
  
  当院の委員会ではレポート提出対象疾患について退院サマリーに考察を加えたものをレポートとして評価
  することにします。




3.短期目標を常に意識させる
  
  それが達成可能かどうか確かめる。達成のために足りない部分に気づかせる。

  ex:「今日は(今週は、次は)何をしたいですか」「やるとしたら手順はイメージできますか」



4.フィードバックを速やかに行う、できるだけその日のうちに
  
  時間がたつと印象に残りにくく効果が薄れます。次の5.にも注意して実践してください!

  ex:研修医のカルテ記載に対し、登録指導医がコメントや署名(「見ていますよ」のメッセージ)
  
  監査とリスクマネジメントも兼ねる重要な作業です。“交換日記”になってしまうのはいかがなものかという
  意見もありますが、臨床研修病院診療加算では、カルテ上でこのことが義務づけられています。




5.評価の言葉に気をつける
  
  1)ほめる場面だけでなく、あたりまえのことも言葉で評価してください。
   
承認を与えることは望ましい行動を習慣化させる場合の方法です。
  ex:「OKです、進めてください」「次もその要領で」・・・カルテのコメントとしての言葉

  2)問題点の指摘は言葉と場面に十分に気をつけて
  ex:「どうすればよかったか、何が足りなかったか、考えよう」
  悪いex:「学校で何を習ってきたんだ」「こんなことも知らんのか」
       「よその科で何をしてきたんだ」「僕がやるからもういい」

  これまでの学習の否定となります。優秀な医師ほど陥りやすい誤りです。 腹が立っても人前では決して
  叱らないでください。影響は甚大で、失敗しないこと、しかられないことを第一目標にするようになります。
  質問のできない雰囲気となり、失敗を重ねることもあります。自尊感情・学習意欲の低下、無力感・うつ気
  分でパフォーマンスを下げます。抑うつ状態の研修医はまず患者さんの心身の状態に目が行き届かなく
  なります。患者さんの抱える心理的問題への対応が確実に犠牲になり、次に検査治療計画、最後に重大
  なミスを犯しそうになるということがアンケートからわかりました。




6.ロールモデル(模範)を示す
  
  特に患者さんやコメデイカルに対する接し方に注意してください。忙しいときに、特に注意!
ナースを怒鳴
  りつけるetc.ないように! 済生会病院ではリーダーとして“連携”のできる医師を育てましょう。




7.指導医も一緒に勉強し、医療の標準化を心がける

  
  知識をrenewalするよい機会です。また、同じ科の中でも、手技のやりかたや薬の使い方が違うと研修医
  は戸惑いますが、実はコメディカルも以前から同じ感想を抱いています。今の医療の流れからできるだけ
  標準化が望まれます。Evidenceのあるものは積極的に導入し、標準化できない部分について、何が本質
  かを教えることが重要です。





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