臨床研修病院のメリットとして、研修医のやる気が指導医(常勤医師)の姿勢の変化をもたらし病院が活性化することがあげられます。そのためには研修医を将来の指導医候補として扱い、主体性と高い目標を持たせて、モチベーションを維持させたい。どのような医師になりたいかという明確なイメージを作って、自ら研修計画を立てられるように支援してゆくことを指導医としての目標としました。反対に研修医を子ども扱いするような態度は、成熟したプロ医師のものではなく、そのような医師は患者さんに対しても同じような診療態度を取っている可能性があり、模範とはならないでしょう。
当院は研修病院としての伝統はありませんが、新しい研修病院だからこそできる自由な発想で、さまざまな取り組みが行われています。入職時オリエンテーションでは、看護実習体験の満足度が高かったのですが、現場を知る早道であり、早く現場に溶け込みたいという彼らのニーズにマッチしていたためです。模擬患者を使った医療面接実習では、不定愁訴を持つ心身症患者や検診で異常を指摘された患者のシナリオを設定しコミュニケーション法の重要性を実感できたようです。内科ローテイト時に総合内科外来での外来研修に参加し、実際にスキルを磨く場を用意しました。これは自由意志で参加できます。可能な限り実地で手技を体験させたり処方したりする上で、安全対策にも力を入れています。カルテ確認・接遇・血管確保・点滴管理などの一連の手順をOSCE化して認定したり、インシデントレポートの入力実習を行うなど、医療安全対策室と共同で年間8回の実習や講習会を企画しています。
<チームマネジメントの導入>
少人数のスーパーローテイトでは研修医が孤立することで失うものも大きいと考えます。そこで10名の研修医がひとつの部署(チーム)として機能できるよう、チームマネジメントの学習・実践を目指しています。ホウレンソウに始まる情報交換能力の重要性、Share
& Supportを基本姿勢とした役割外行動の奨励、知的相互刺激から情報の練り上げ、創造的活動にいたるチームワークのレベルの向上を期待しています。指導医からすれば、毎回ゼロから教える必要がないようにしてもらいたいわけで、企業内の配置転換とスーパーローテイトを重ね合わせて考えることも必要でしょう。
このような研修方針のもと、彼らはチームとしてすぐに主体性を発揮しはじめました。研修を充実させるために委員を決めて役割分担されています。勉強会、抄読会がほぼ毎日、研修医の手で企画されており、ローテイト先での体験を報告しあっています。「準備ができたとき、先生が現れる」という格言もあるように、指導医の行うレクチャーも、今必要と思われるテーマを自分たちで意見を出して指導医と交渉し、毎週1回のペースで企画されています。
当然のことでしょうが、病院の研修委員会へ研修医の代表者が参加して発言し、当直表も自分たちで作成し事務に提出しています。これらは週1回の私とのミーティングで彼らの意見を確認しながら進めています。このミーティングにグループカウンセリングの役割をもたせ、高いモチベーションの維持に役立たせたいと思っています。
<びわこ臨床研修ネットワークの設立>
滋賀県では大学病院を除くと、どの研修病院も1学年の募集人員は10名以下で、2〜4名のところも多い状況です。少人数の病院では研修体制を充実させることに限界があり、病院間での交流も役立つと考えました。講演会や懇親会だけでなく、ホームページと指導医用メーリングリスト、研修医(+学生)用メーリングリストを整え、share
& supportと相互刺激を実践し、微力ながら支援してゆくつもりです。
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