研修医の声


■市立長浜病院での研修生活                       今枝 広丞 先生

 私達が研修している市立長浜病院は、一般病棟520床および療養病棟156床のあわせて676床と、滋賀県下でも有数の規模をもち、湖北地域の中核を担う病院です。またこの病院は、東には伊吹山、西には琵琶湖と、それぞれこの地域の象徴となっている景観が東病棟および西病棟の全室よりながめることができるようなつくりになっています。私達研修医も含め、病院全体が地域と密着した医療を目指しているすばらしい病院です。
 現在、市立長浜病院には、1年目6人、2年目5人の合計10人の研修医がいます。1年目6人の出身校は、京大、阪大、福井大、大阪医大、近大、滋賀医大とバラバラですが、それぞれ個性的なやつらばかりが集まっていて、非常に和気藹々としています。研修は2人一組ずつ、内科(前半)、内科(後半)、外科、麻酔科を3ヶ月ごとにローテーションしていきます。 (市立長浜病院の研修プログラムへのリンク) 6人合同で行うカンファレンスや症例検討会もあり、毎週水曜にACLS勉強会、金曜に画像検討会、毎月1回ごとに生涯教育研修会、救急症例検討会がひらかれていて、毎回、経験年数にこだわらない熱のこもったディスカッションが繰り広げられています。9月には、CPCを2年目の研修医とともに私達がプレゼンテーションすることになっています。




研修医のいる部屋。パソコンやソファーもある。

◆内科の研修                  

 内科の研修は、循環器、消化器、呼吸器、腎内分泌、血液、神経をそれぞれ1ヶ月ずつローテーションしています。現在、私がこの病院で研修を始めて3ヶ月がすぎ、血液、消化器、腎内分泌の研修が終了したところです。それぞれ1ヶ月間で5名ずつ以上の患者さんを担当し、入院計画から退院サマリーまでの業務をこなしています。基本的には、自分の担当患者さんの診察や検査はすべて自分達の責任で行っています。普通なら萎縮してしまうところですが、常に指導医のバックアップがあために、自分の未熟さが気になるよりもむしろ自分の患者さんのために精一杯のことをしてあげようと一生懸命になることができました。最初の内視鏡では同じ場所を何枚も撮ってしまったり、腹部超音波検査ではルーチーンの場所をもらしたりしましたが、指導医の先生がそのつど修正してくれて、今では型通りの検査ならなんとかひとりでできるようになっています。 
 内科研修が半分終わって自分として得た最大ものは、検査や診察の手技とか疾患に関する知識ではなく、「患者さんを診る」とはどういうことかということです。学生のときは急性期医療を主とする大学病院が実習場所であったため、慢性疾患の患者さんが急変するといった場に立ち会うことができませんでした。医師となってこの病院に来て、はじめて患者さんが元気なときから最後を迎えるまで診ることができるようになったとき、医師とはどうあるべきか、どのような気持ちになるのか、理解できたような気がします。



1年目研修医の紅一点。ただし気風のよさはほかの男性陣より・・・

◆外科の研修                  

 外科の研修は、消化器外科を3ヶ月間ローテーションすることになっています。私自身はまだ外科をローテーションしていませんが、まわった二人によると、毎朝夕のガーゼ交換、採血といったものが研修医の主な仕事のようです。現在、消化器外科は副院長を含め6人のスタッフと研修医2人という体制です。研修医は当然助手としてオペに入り、緊急ともなれば第1助手として入ることもあります。
 外科は、なんといっても体力勝負だそうです。まわった二人によれば、副院長ですらやさしいお父さんに見えてくるとか・・・。ただ、外科研修といえばひたすら勾引きのみというイメージがありますが、実際は違います。術前に消化器内科と念入りにディスカッションし、必要となれば再検査を行って完璧な手術計画をたて、内科系のドクターが目を見張るような術後管理をおこなっています。そのすべてに研修医がかかわっていて、研修が終わる3ヶ月ころには、どのような状況にあっても動じない度胸と自信がつくようです。



ラウンジ。ときにはカンファレンスルーム、ときには研修医の睡眠場所となる

◆麻酔科の研修                  

 8月から私は麻酔科で研修を行っています。ここでの研修は、なんといっても五感をフルに使うこと。(味覚を使うことはまずないのですが・・・) モニターの値を追うことだけが麻酔科医の仕事ではないことを教え込まれます。患者さんを診て、見て、観て、看ること、触ってみること、嗅いでみること、聴いてみることで状態を把握するのが麻酔ということがわかります。バッグをもむことひとつについても、その触覚で自発呼吸の有無がわかったりします。麻酔科の研修は気管内挿管や脊髄くも膜下穿刺などの手技がメインと思われがちですが、それらは麻酔の三要素「無痛、無動、無意識」を実施する上での手段に過ぎません。麻酔とは、患者さんの現在の状態を把握して、患者さんを手術する最適な状態にすることが目的であるということがこの研修で理解できるようになりました。 
 とは言ってみても、気管内挿管やくも膜下穿刺ができたときの達成感はほかのなにものにもたとえられないほどです。



図書室。常備している医学雑誌の数は大学にひけをとらない(らしい)。ときには、研修医の休息の場となる。

◆救急外来の研修                  

 救急外来の研修は時間外診療をかねており、通常の業務とは別に夜間の副直または土日祝日の日中の副直にて行われます。まずアナムネをとって診察し、それを指導医にチェックしてもらってから治療方針の確認を行うといった形式で行われます。時間的に余裕の無い患者さんの場合は、ほかのスタッフと一緒にモニターをとったり、採血やルートとりをおこなったりしています。通常の病棟での業務とは違い、症状の把握や疾患の鑑別を瞬時に行わなければならないので、非常に勉強になります。毎回、アドレナリン全開で患者さんと対面しています。 
 ただ、このときも後ろで指導医の先生がひかえてくれているので安心です。そのつど、足りなかった部分を患者さんに聞きなおしてくれるので、「ああ、こうしたらよかったんだ」「この疾患を鑑別に入れていなかった」と理解が深まります。
 市立長浜病院には夜間休日にかかわらず全科の待機ドクターがいるため安心して時間外診療を受診される患者さんも多く、米原以北という広い範囲の救急をカバーしているためさまざまな疾患の患者さんが運ばれてきて、それだけやりがいのある業務のひとつとなっています。また、ACLS勉強会や救急症例検討会での成果を発揮できる場でもあり、身をもった経験を得ることができる場でもあります。



研修医の副直室。ちょっとしたビジネスホテルなみです

■最後に         

 市立長浜病院は規模も大きく、急性期、慢性期、療養型と3つの異なる形態の医療を提供しており、それらを求めて来院される患者さんたちもさまざまです。私のこの3ヵ月半は、本を読んで得られた知識より患者さんを診て得られたことのほうが多かった、そんな感じの研修でした。 


市立長浜病院へのリンク


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