聞き手がうなずいたり、あいずちを打つと、話し手は自分が承認されていると感じて、スムーズに言葉がでてきます。どんどんお話くださいというサインであり、いわば会話の潤滑油です。聞き手が無反応なら自分は変なことを行っているのだろうかと不安になり、話そうかどうしようかと迷わせていしまいます。相手の顔色を無視して話し出したらとまらないタイプの人も中にはいますが、通常は初対面の外来では相手も用心して顔色をうかがうものです。話のポイントでは、あいずちに続いて簡潔なコメントや要約を挟みます「なるほど、○○○ということですね」。的を得たコメントなら信頼感が増します。コメントが浮かばないときも、相手の言葉を繰り返す「おうむ返し」をすれば有効です。ポイントがよくわからなければ、「ちょっと待ってください」と中断して「こういうことですか?」と確認します。カウンセラーの仕事は相手の鏡になることだといいますが、鏡になりきる道具がうなずき、あいずち、要約、コメントだといえます。
おしゃべり好きの人が暴走するときや反論しなければならない時にも、まずは一呼吸おいてから「なるほど、○○さんの話はごもっともです。ところで今日の検査値は・・・」と話題を転換すると、こちらの否定や攻撃の姿勢が和らぎます。これを話し終わるや否や間髪をいれずに「わかりました!」を連発すると、話し手は聴いてもらえた気になりません。ひと呼吸の間はだいたい0.5秒です。この間を相手の言葉を理解するのに使っているわけです。話し終わるまでに「わかりました」というのは、「もう聴きたくない」という意味になるのはご存知でしょう。
実はこの作業にはもう一つの効用があります。あいずち&コメントの作業を通して、自分の頭の中を真っ白にして(ゼロポジション)、話に集中できるので、聞き手にとっても重要だということです。なにもなしに湧き上がる自分の思考を抑えるのはなかなか大変です。学会などで講演を聴いているとき、少し難しかったり、自分の興味から外れた話だと自分の思考が沸きあがることを経験しますが、そのことで集中力が低下してますます相手の話がわからなくなってゆきます。一方通行の会話というのはこれに似ています。 |